■スイング・ガールズ
日本のこういった「とりあえず青春とか好きなんで」レヴェルの映画に、演技やストーリーについての突っ込みなんて、入れるだけヤボなのかもしれないですが、そうすると特に書ける感想もないって事になっちゃうんで、無粋を承知で書いちゃいます。

といってもまー、オーディションで集めた有象無象の若者の演技なんて、こんなもんと目をつぶる以外にはないんですけどね。
ただ、ただでさえ滑舌の良くないところにもってきて、何故か物語の舞台が山形だか秋田だかの東北なんで、全員東北弁ってのがまた大変(;´Д`) 結構いいシーン(らしき部分)でも、何を言ってるのか分からなかったり、メロウな雰囲気ぶち壊しだったりするのは、まあご愛嬌なのかしらねえ。
東京のスレた子供たちが素直にバンドやるなんてのじゃ現実味がないし、東北だから暖かいし、とかそんな狙いなんですかね?

でもだからと言ってこの設定が現実味があるかといったら…
オーディションで集められた当初は全員縦笛レベルしか楽器に縁がなかったという子供達を、実際に演奏できるまでに練習させたそうですから、それに時間を割かれて、ストーリーや芝居を深めていく暇がなかったんでしょうか?
どうにも、あのウォーターボーイズと同じ監督とは思えない内容の薄さでちょっと拍子抜けです。
特に、こういった「青春・子供達一丸となって努力系」のストーリーにおいては、その苦労の過程と、襲ってくるトラブルおよびその解決策(その為に生まれる友情やら各個人のキャラクターやら)ってのが、感情移入の為の一大要素であって、それがあってこそ、クライマックスの「実演」シーンが生きてくるってもんなんですが、この「スイング・ガールズ」においては、どうもその辺の練りが甘い。

例えば、合奏が全然駄目で聞くに堪えなかった連中が、「だんだん音が合うようになっていって、ようやく人から褒められる」っていうレベルに達するまでに、間の段階がないんですよね。
バイトしてお金貯めたりだとか、中古の楽器を直したりだとか、あと基礎練習のシーンはたっぷりあるけれど、実際音を合わせるようになってから、バラバラだったそれがだんだん音楽になっていく、っていう、音楽やってるものとしては一番気持ちいいシーンが、すっ飛ばされちゃってるの。
演奏がヘタだ→先生に駄目出しされる→ふとコツ(この場合スィング)を掴む→で、もう次は街頭演奏で喝采、ですもの。
個人で練習一生懸命してるシーンが出たのも、主人公の女の子のほんのチョコっとだけだし。
まぁ多分、実際の出演者達の楽器習熟と撮影のスケジュールがかみ合わなかった、とかそんなトコなんだろうけどねえ。 でもせっかく「何もできない子達が上達していく」っていうこの映画のキモ部分を、リアルタイムで撮れるんだから、そこにとにかく重点を置かなきゃ、何の為にド素人集めたんだかわからんと思うのですが(;´Д`)

音楽以外のトラブルのシーンでも、お定まりの仲間割れ(熱心な連中とそうでない子達)も、熱心連中が演奏してるの見た途端にやっぱり合流してめでたしめでたし、だし、指導の先生が実は自分は楽器が全然駄目っていう設定も、その先生がコンクールで指揮をしないっていう決断だけで容易に解決しちゃってトラブルに発展しないし、雪で電車が止まった&主人公がコンクールの応募ビデオを失くして出演できないっていう件も、それが明らかになってからわずか5分くらいで、バスで迎えに来た先生が「雪で来れなくなった学校の代わりに出られる」って言って無事完了、と、どの問題も、観客がそれをどれだけ大きな問題かと認識する前にさっさと解決しちゃうから、「うわぁ、この子達こんなに頑張ってきたのにこんなトラブルが起こっちゃって、一体どうするんだろう?」っていうスリル感の演出や感情のアオリが全然できてないんですね。
だから、各人の人間関係や主人公の恋愛展開も中途半端だし。
世間の(ヲタ)男性陣がこの映画を見て、関口さん萌え萌え言ってるのも、ぶっちゃけあの人以外のキャラが、名前を覚えるほどにも立ってないってのが正直なところではないかと(^_^;)

まあ、そうは言ってもやっぱり、私も音楽人間なんで、最後の演奏シーンはジーンと来ますけどね。 特に関口さんのソロが(笑)
たけしの「座頭市」と同じく、そのラストの“無理やり音でカタルシス“だけで、まぁ及第点をあげてもいいのかな、っていう感じです。 セーラー服や、女子高生が好きな人なら、なお更そこのみで良いのかとw

そう考えてみれば、私が「ウォーターボーイズ」のほうが好きなのは、男子高校生の群れが見れただけで萌え萌え、っていう理由なのかしらねえ(爆)
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