■CUBE2
結局ねぇ、結論から先言っちゃうと、前作の設定をなぞっただけの別物。 かつ当然ながら設定や世界観の味わいは生かしきれてなくて、はっきり言って消化不良(-_~-)
コレ作った連中は、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の何がどう素晴らしいのかがわかってないんですって。

まず各人のキャラクターが生かされてないのよね。 このキューブに入れられた人ってのは、その職業や趣味から、何か脱出に必要な特技や性質を持ってるとい うのが条件なんだけど、それに加えて更に各人の個性の絡み合いと変化ってのも重要でしょう。 でもこの2じゃ、単に「ふと気づいたらキューブの関係者だか ら情報知ってます」ってしゃべくりで謎解くだけで、単なる都合合わせにしか見えない

それに謎解きってほどの謎解きじゃないのよね。 前作では、手元に何もない状態で必至で数式計算して進んでくパズルゲーム的快感と、その仮定が実は間違っ ていた、そして次の回答方法は・・という感情の高低のギャップが良い緊張感を生んでたんだけど、今回のは全然謎解かないでただ進むだけ、だから罠もほとん ど出てこないし、出てきても、出たって気づいてから逃げられるものばかりでしょ。

大体、罠に対する美的感覚が全然違うのよね。 現実には有り得ないほどの幾何学的機能美を備えた殺人装置を、敢えて鋼線という現実的素材で表現するところ に、CUBEの視覚的魅力の大半が凝縮されてたってのに、なんだか解らない半不可視のCGなんかじゃあ、恐怖感も、その恐怖に魅了されるアンビバレンツな 喜びも生まれないじゃないのさー。
そしてオチね。 前作のあの、「もしかしたら誰もその正体を知らない公共事業なんじゃないか?」なんていう、一見世界観と不釣合いな仮定の先にあった、結 局わからないまま、人々は争い倒れたまま、精神障害者だけが助かるという、皮肉に満ちたある意味綺麗なオチ。 それがさ、今回の、超四方体の論理を作った ハッカーを追う軍、そして潜入したエージェントは生還後射殺、なんて世俗的なまとめ方じゃ、台無しじゃない?

つかさー、量子力学持ち出して時間も空間も自由自在の超四方体、なんてのじゃ、CUBEの「現実の法則に即しているけど相当理不尽」っていう”不安定の美”が生かせないんだってばー(T^T)9 あー、もう、わかってない。

確かに前作と同じモン作っても意味無いわよ? でもそれを俗的に翻案したら駄目なんだってば。 つまりはこの作品は前作で完璧に昇華完結してて、2を作る こと自体が間違いだってのさ。 そりゃ何らかの期待はして見に行ったけどさ、やっぱりこの「2は成り立たないだろ?」っていう感触を信じるべきだったのよ ね〜・・(-_~-)

まぁ一般的には、もしこの2を先に出してたら、「ほー、面白い発想だねぇ」くらいの評価にはなったかもしれないけど、あの前作があっての上じゃね。
まさに「2001年」に対する「2010年」と同じよ。 劣化コピーじゃん、っていう。
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