・・・ Midsummer Night's Dream ・・・
※この物語はフィクションのつもりであり、実在の人物、行動、言動、事件等と似ているように見えても気のせいです(笑)





ある、いつも通りに暑い夏の夜のこと、、

「ピンポ〜ン♪」
ミサトとシンジの住むマンションの玄関のベルが鳴った。

「はーい」
シンジが玄関を開けると、そこには立っていたのはミサトではなく、ポケットに片手を突っ込んだいつものスタイルの加持であった。

「よっ!シンジ君。葛城は居るかな?」
しゅたっと片手を挙げて気さくに挨拶する

「あ、加持さん、こんばんは。あの、、今日ミサトさん遅くなるって、、先に寝てていいって言われてるんです。アスカも友達のうちに行っちゃってるし、、」

突然の来訪者にシンジは少し狼狽した。

「そうかぁ。たまには葛城のうちで飲むってのもいいかと思って寄ってみたんだが、、ま、知らない仲じゃないし勝手にやらせてもらうかな。
そのうち帰ってくるだろう。上がってもいいかい?」

そう言いながらも加持は既にかがみ込んで靴を脱ぎ始めている

「あ、、ど、どうぞ、、」

ミサトのことを親しげに呼び捨てにする加持の口調を聞くと、どうしても二人の「大人の」関係を意識してしまい、気恥ずかしさや少しの嫌悪感、そして意識されることのないほどの嫉妬心がない交ぜになり、シンジはいつも複雑な心境になってしまう。
それに、加持と二人きりにで何を話せばいいのかもわからないし、かといって客人をほったらかしにするわけにもいかない。一人のときに他人を家に上げるなど、シンジには経験のないことだったのだ。

そんなシンジの戸惑いを知ってか知らずか、加持はさっさとキッチンに入ると、ミサト専用の冷蔵庫からビールを3本取りだしてリビングルームに向かった。

部屋の真ん中あたりに据えられた背の低いテーブルの前、クッションの置いてある床にどっかと腰を下ろす。
左手でネクタイをゆるめながら
「ふぅ〜。さてっと、、どうだい、シンジ君?葛城が帰ってくるまで付き合わないか?」
いたずらっぽい笑みを浮かべ、右手でビールの缶を少し持ち上げて見せた。

「僕、、未成年ですよ、、」

部屋の入り口で所在なげに立ち尽くしていたシンジだが、だからといって一緒にお酒を飲む、なんてことをする気にもなれない。

「それに、ミサトさんのビール勝手に飲んじゃったら、怒られますよ、、」
これには、買い物に行かされるのは僕なんだから、という意味合いも含まれている。

「おいおい、今どき未成年だからってビールも飲んだことないやつなんていないぞ。それに葛城も、君が大人への第一歩を踏み出した、とあれば怒ったりなんかしないさ。」
そう言いつつ、加持はもう自分の缶を開けている。

「はあ、、、、」
(なんか、すごいへ理屈に聞こえるけど、、)

とはいえ、ほかにどうすることも思いつかないシンジは、仕方なく加持のとなりに座り、缶を受け取って開けた。

「乾杯!」
「あ、、はい、、」

シンジはぎこちなく缶をあわせ、そして、、
ごっ、ごっ、ごっ、ごっ、ごっ、ごっ、、、
「ぷはぁ!」

一気に飲み干した缶を置き、手の甲で口元をぬぐった。

「な、、、(゚◇゚;)」

おそるおそる一口飲んでみて、その苦さにちょっと顔をしかめる、なんていう中学生らしい反応を期待していた加持は、あまりの意外な事態に、自分のを飲むのも忘れて呆然としてしまった。

一瞬後、ふっと我にかえる

「シ、シンジ君、、なんて飲み方するんだ?!」
「え、、?だってミサトさんが、ビールはこうやって飲むものだって、、」
(葛城ぃ〜、、(-_-;))「い、いや、普通に飲めばいいんだよ。しっかし、いきなりそんなに飲んで、よく大丈夫だね、、」
「ええ。結構美味しいもんですね♪ミサトさんの気持ちがちょっと分かるような気がします。」
「そ、そうか、、あ、いや!葛城の真似はしなくていいんだからな!(^_^;)」
「はあ、、 あ、僕おつまみとか持ってきますね」

シンジは自分のどこが変なのかわからないまま、気にするのはやめてしまったようだ。すたすたとキッチンに行ってしまった。

(こりゃあ、予想外だ。かわいい顔して案外すごいんだな、、)
加持は複雑な表情で自分のビールをぐびりと一口飲んだ。


程なく、両手いっぱいに缶ビールを抱え、スナック菓子の入ったコンビニの袋を下げたシンジが戻ってきた。

「すいません、ウチにあるおつまみってこんなのしかないんですけど、、ビールもすぐなくなっちゃうからいっぱい持ってきました。」

やたらとニコニコしている。さっきの一本がもう回りはじめたようだ。

「あ、ああ。別にかまわんよ。」
「はい。じゃあ改めて、乾杯♪」
またもや何のためらいもなくビールを飲みはじめるシンジの横顔を、加持は複雑な表情のまま眺めていた。



**********




二人の間にはシンジが心配したより話題が豊富だった。

学校のこと、友達のこと、ミサトのこと、アスカのこと、、。たまにネルフやゲンドウの話に及び、シンジが沈んでしまいそうになる事もあったが、そこは話術の巧みな加持のこと、すぐに自然に話題を変えてゆく。

すると、酔いのせいで気分のよくなっているシンジも、いつもなら落ち込んでしまうところもサラッと受け流す、という調子だった。



**********




3時間もたち、加持もだいぶ飲み進んでボーっとしはじめた頃だった。


とん、といきなりシンジの体が、加持によりかかってきた。

(ん?そろそろ眠くなってきたかな?)
と、加持がシンジの方を見ると、、その横の床にはおびただしい数のビールの空缶。10本以上は軽くあるだろう。

「シ、シンジ君、いつのまにそんなに飲んだんだ?!」
「え〜?僕はらいじょうぶですよぅ〜♪」
頬どころか顔中真っ赤にしたシンジが加持を見上げる。完全に目が座っていた。

(うっわぁ、しまったな。こりゃ、飲ませすぎた。早いところ寝かしつけた方がよさそうだ、、)

「だいぶ酔ってるみたいだな。そろそろ終わりにしとくか?」

もたれかかってくるシンジの肩をつかんで、顔を覗き込む。しかし、その行動が仇となった。体を離すどころか、シンジの両手がするりと加持の腰に回ってきて、さらにしなだれかかってきたのだ。

「僕、酔ってませんよぉ〜、、」
ふと見れば、いつのまにかシンジはシャツのボタンを三つもはずしていた。
その下に見える胸元まで真っ赤だ。

(こ、これは、、酒癖が悪いっ!(^_^;))

絡み上戸はミサトで慣れている、と思っていた加持だが、いつものシンジからは想像もつかないような乱れ方にはさすがに戸惑うばかりだ。

「さあ、シンジ君。葛城が帰ってくる前に寝ちまった方がいいぞ。」
もう一度加持は、シンジの両肩をつかんで体を離そうとした。すると、シンジは加持の胸に埋めていた顔をけだるげに上げ、潤んだ瞳で訴えかけるように加持を見つめた。







「加持さん、ひどい、、僕のこと、嫌いなの?」





「へっ?!」







思いもよらぬセリフに二の句の継げない加持。
目が点、とでも言うのだろうか、いつものダンディーな彼からはちょっと想像できないようなマヌケ面になってしまっている。

シンジの腕が今度は首に回ってきた。その時、うろたえた加持の手ついがシンジの腰に触れ、、、


「あん、、、」


シンジの口から小さな喘ぎが漏れ、背筋がピクンと反る。

「はぁっ?!」
加持はさらに何がなんだか分からなくなってきた。

「そこ、、だめ、、」
囁くシンジの吐息が熱い。

(酔って敏感になってるんだな、、しかし、、なんちゅう反応だ(^_^;) ヘタな女より色っぽいぞ、、)

そう意識してしまうと、シンジの顔をまともに見られなくなってくる。
かといって他のところに目をやれば、
(首も腰も細いし、肌はスベスベ、、髪も、、柔らかいな、、)

加持の手は、もたれかかってくるシンジの髪を、知らず知らずのうちに優しく撫でていた。
(男の子には、、見えんよな、、)

その手の動きに合わせるように、シンジの顔がまた上がった。
そして、とろんとした眼で加持を見上げ、ゆっくりと顔を近づけてくる。
無意識なのだろうが、半開きになった唇が必要以上にセクシーだ。

(これは、、誘っているのか? いや、しかし、、シンジ君に限ってそんなことは、、)

加持がうろたえて頭を引くと、その分シンジの顔が迫る。
しばらくじっと、二人はその状態のままだった。
その熱く潤んだ瞳を見つめているうちに、加持は次第に頭の奥のほうが熱くなってくるのを感じた。そして、下半身も、、


二人の顔がそっと近づく。

はじめは唇だけ、何度も合わせる、、 
そしてそのうちどちらからともなく舌を絡めあっていく。

シンジはぐったりと加持に身を預けた。それを支えるために、加持はぐっとシンジを抱きしめる。
一旦顔を離し、シンジを見つめる。そして今度は、その上気した頬に優しいキス。

(柔らかい、、)

加持の行動はもう、完全に女に対するそれになっていた。
(据膳食わぬは何とやら、、だよな)


耳に、首筋に、うなじに、唇を這わせていく。

「あ、、」

シンジが喘ぎ、その声は加持の耳を心地よく刺激した。

シンジの手がそっと上がり、加持のネクタイをはずそうとする。が、酔っているためうまくいかない。
加持は一旦体を離し、自分で一気にネクタイをはずした。
そしてシャツのボタンに手をかけようとした時、そこに重ねるようにシンジが手を伸ばしてきた。ボタンをはずしたいらしい。

させるままにしていると、シンジはゆっくりと、1つ1つボタンをはずし、加持の引き締まった胸板に指を這わせた。

「いいなあ、、加持さん、、男らしい胸で、、」

そのまま手を上へ滑らせ、あごに触れる。
「髭もはえてるし、、いいなあ、、」

加持はうっとりした目つきのシンジの顔を両手で優しく包み、そっとくちづけた。
そして耳元で、、

「いいじゃないか。君は今のままで充分可愛いよ、、」
「やだぁ、、カワイイよりカッコイイ方がいいよぉ、、」

そう言いながら、シンジは加持の首に腕を回し、その首筋に吸い付くようにキスをした。

ぞくっ、、と加持の背筋に快感が走る。

今まで多くの経験をしてきた加持だったが、こんな感じ方をしたのは初めてだった。
(くっ、、これが、、禁断の遊戯の魅力、、ってわけか、、)



ぷつん 、とどこかで張り詰めた糸が切れるような音がした。

加持の最後の理性が弾けとんだ音だ。

しかしもう二人の耳にはそれは届かない。



むさぼるようなくちづけをしながら、シンジを床に押し倒す。
そして学生服のシャツをズボンから引きずり出して手早く脱がせた。

シンジはしがみつくように、首にかけた手を離さない。
加持はそのままベルトを外し、ズボンも脱がせた。
白いブリーフ1枚になったシンジの柔らかい太股が、加持の腰に絡み付いてくる。

加持は首にかかったシンジの手を掴み、やや荒っぽくシンジをうつ伏せにさせた。
おびえたような眼で見上げる表情が、またたまらない、、

ムダな肉のついていない、繊細なラインをえがく背中をそっと指で触れ、つっ、と腰までたどる。

「ああん、、、」

耐えかねたようにシンジの口から声が漏れた。
そして今度は舌で、背骨に沿って下から上へ、、手の平では腰のあたりを愛撫する。
キメの細かいシンジの肌が、手に吸い付いてくるようで気持ちがよい。

シンジの息遣いが荒くなってきた。加持が肩口を軽く噛む。そして耳も。

「あうっ、、」

くっ、とシンジの肩に力が入る。そしてゆっくりと、救いを求めるような眼を加持に向けた。

二人は見つめあい、また唇を合わせる。シンジが加持に抱き着くように仰向けになった。

加持はそのまま、首から鎖骨へのラインに舌を這わせる。
あらわになった胸には、つんと硬くなったチェリーピンクの乳首が、心臓の鼓動に合わせて上下していた。
ちゅっ、、と音を立てて、その愛らしい果実を優しく吸う。

「あっ、、!」
シンジの体が大きく弓なりになった。加持は唇で刺激し、舌で転がす。もう片方の乳首は指で、、

「はあぁんっ!」
シンジの手が、何かを求めるように握り締められた。

(ベッドの上ならシーツを掴んでいるところだな、、)
そんなことを考えながら、加持の唇は赤い軌跡を残しつつ次第に下腹部へと向かう。
手が先に、すべらかな内腿へとたどり着いた。ここも熱くほてっている。

その太股を抱え、そこにもキスをする。そしてさらに下へ、、膝の裏、ふくらはぎを通り、指を口に含んだ。
ここが意外と感じる部分であることを知る人は少ない。

「ああっ!、、はぁ、んん、、、」

硬く閉じられていたシンジの眼が大きく見開かれ、襲いくる快感に耐えきれずにまた閉ざされる。

絶え間のない愛撫、、シンジにとってはキスさえも未知の体験だというのに、、


そして、加持の手がブリーフにかかった。

すると、
「あ、、ダメ、、」
力なくシンジの手がそれを抑えようとする。

(まだ多少は意識が残っているのか)
少々のおかしさと、たまらない愛おしさを感じながら、加持は半ばムリヤリそれを剥ぎ取った。

「いや、、」

シンジは腿を合わせて隠そうとする。しかし、酔いのまわった身ではそれもままならなかった。
密やかな茂みの中で、熱く、紅く、シンジのものは硬直していた。その先からは、すでに透明な液体が滲み出している。

(さて、、)

やり方はよく心得ている。

(自分がするのははじめてだがな、、)

加持はゆっくり顔を近づけ、まだ幼さを残すシンジのそれを舌で舐めあげた。

「はうっ!」

シンジのからだがビクンと反応する。脳が焼けるように熱い快感が、腰から広がって全身を駆け巡った。

敏感な部分に舌を絡め、先端から順に唇で包み込んでいくと、どくどくと脈打っているのが感じられる。
そのままゆっくりと根元まで呑み込む。今度は強く吸いながらまた上へ。そして、その縫い目のようになっている部分を舌でしごくように何度も刺激する。

「ああっ!すごい、、あぁんん!!」

シンジは激しく頭を左右に振りながら、抑えようのない大きな声を上げた。
その声を聞いた加持は、唇と舌と手を総動員して、さらに一層責め立てる。次第に速度を増して、、。

敏感な部分が刺激されるたびに、シンジの体に力が入る。そして、、

「あっ!いやっ!、、なんか、、来るっ!」
シンジのものが加持の口の中で一瞬さらに硬くなり、次の瞬間に勢いよく熱い液体が放出された。

「はぁっ!あうっ!」
切ない声を上げて、シンジの体がビクンビクンと反るたびに、何度も何度も、液体がほとばしる。加持はそれをすべて口で受け止め、飲み下した。

(こりゃ確かに、、飲みにくい、、な、、)
加持はかつて相手をしてくれた女性たちに、奇妙な感謝の念と共感を覚えた(笑)。


加持が口を離すと、ぐったりと横たわったシンジははぁはぁと息を荒げる。その眼にはうっすらと涙が浮かんでいた。

(可愛い、、、)
加持の顔に笑みが浮かぶ。そっとシンジの頬を撫でた。

(しかし、ここで終わりというわけにはいかないよな、、)

加持もすでに後には引き下がれない状況にきていたのだ。


シンジの頬にあてた手を、ゆっくりと下へ滑らせる、、柔らかな双丘へと、、、。

「えっ、、!」
シンジは加持が何をするつもりか気づいて顔を上げた。しかしその時にはもう、加持の指はその秘部を探りあてていた。

(女ともこっちの経験はある、、出来ないことじゃないよな、、)

つぷっ、、っと指先をもぐりこませる。汗ばんでいることもあって、ほとんど抵抗はなかった。

「やん、、!」
顔をしかめ、慌てて止めようと手を出すシンジ。しかし加持はその唇をふさいでしまった。

(ここも柔らかいな。これなら、、イケそうだ)

指は第二関節まで沈んでいた。ゆっくりと、広げるようにほぐしていく。

「んん、、、」
シンジの喉からくぐもった声が漏れる。

(感じてるのか、、)
絡めた舌と、秘部に侵入した指とがシンクロし、なまめかしい動きをする。
そっと唇が離れた。次に指も引きぬかれる。

「くっ、、」
眉根を寄せたシンジの表情は、やめて欲しいと哀願するようにも、期待しているようにも見える。
その顔を見つめながら、加持はシンジの両膝の裏に手をあてがい、ぐっと持ち上げた。あられもない姿になったシンジのピンク色のすぼまりがヒクヒクと震えているのがわかる。

(何か、、いいものは、、)

と、加持が周囲を見廻すと、横の本棚の上に置いてある化粧品類の中のベビーオイルが目にとまった。
それを取り、片手で器用に蓋を開ける。ボトルを逆さにして、透明なオイルをそのつぼみのような秘部にたらしていった。

「ひぁっ、、!」
(ちょっと冷たかったか)

苦笑しながらも、指を使って中までなじませる。



そしておもむろに、自分のズボンのジッパーを引きおろした。
熱くいきり立ったものをシンジの局所に押し当て、そして、、ゆっくりと、、腰を、、沈めていく、、

「あ、、ああぅ、、、うぁっ、、!いや、、痛いっ、、」
「力を抜いて、、」

加持がシンジの耳にささやく。その背中にシンジの腕がまわされ、ぎゅっと握り締められた。
ゆっくりと、しかし確実に、根元まで押し込んでいく。

(すごい締めつけだ、、こりゃ、、長くは持たんな、、)
またゆっくりと引きぬく。

「はぁぁっ、、」

シンジの体が弛緩した。

うしろを使う場合、慣れない者には入れる時より抜く時のほうが快感であるらしい。

今度はもう少し速く、根元まで、、そして抜く。だんだんと、繰り返していく度に動きが滑らかになってきた。
「やぁん、、いやぁ、、!」
シンジの声も次第に大きくなってくる。

男性自身全体に絡みつくような直腸の内壁のひだの感触に、加持は耐えきれなくなってきた。
頭の芯がじんじんと唸るような、絶え間なく襲い来る快感、、、

さらに動きが激しくなる。

「ああぁあああぁぁっ!!」

シンジが加持の背中に爪を立てたその時、
一段と深く腰を突き上げて、加持が果てた、、、。



**********



荒い息をつきながら、折り重なる二人。


(クセになったら、、まずいな、、)


快感にしびれる頭の中で、加持はそんなことをぼんやりと考えていた。



**********



シュンッ、と音を立てて玄関が開いた。
続いてヒールの足音。
ミサトが帰ってきたのである。

「たぁだいま〜、、あ〜、つっかれた、、」

と、かがんで靴を脱ごうとした時に、男物の靴がミサトの目に入った。

一瞬の硬直。
後、放り投げるように靴を脱ぎ、即座にリビングルームに向かう。

「あ〜!あんたぁ!なぁんでウチにいるのよっ!」

「よぅ、葛城。お先に一杯やらせてもらってるよ。」

加持が手に持ったビールの缶を持ち上げ、ウィンクを飛ばす。
その膝には、きちんと服を着てすやすやと眠るシンジがいた。

「ちょっ、、シンジ君にも飲ませたのぉ?!、、やだっ!こんなに飲んで、、なに考えてるのよっ!人のビールを勝手にぃ!!あ〜もう、こんなにちらかして!まったく、いいかげんにしてよね!どこが一杯よ!昔っからあんたのそういう所、、、」

息をまいてあたりを見回していたミサトの動きが、ふと止まった。

つかつかとごみ箱に歩み寄り、その中を凝視している。



「、、、、、、、ちょっと、、、加持、、、」


声のトーンが急激に低くなった。

「んん?」

すっきりしたせいか上機嫌な加持は、ミサトの異変に気づかずにこやかだ。

「、、、、このティッシュ、、、、すっっっごく、見覚えのある状態なんだけど、、」

そしてゆっくりとかがみ込む、、



「それに、、、すっっっっごく嗅ぎ覚えのある、、このにおい、、、私が、、、忘れたとでも、、、思ってたの、、、?」



くるうりと振り返ったミサトの顔は、地獄の悪鬼もかくはあらじというほどの怒りの形相であった。
背後に燃え盛る業火が見えたのは気のせいだったろうか。


「あんた、、、まさかシンジ君に、、、、」


加持はビールを持った手を下ろすこともできずに、口の端の引きつったにこやかな表情のまま凍りついていた。
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