・・・ Dummy Angel VIII ・・・
狩人に会いました。

Iedaやその仲間達を「狩る」事を生業としている者です。
狩って、そしてどうするのですか?と聞くと、
食うのさ、と彼は長い紅い髪の奥で薄く笑いました。

でもそれは嘘です。
私は知っています。
彼は擬天使たちを見つけては捕え、傍に置き、
そして優しく辛抱強く(時には厳しく)、彼らに教育を施すのです。

彼らが無事、空を飛べる大きな翼を手に入れられるように・・・


私は知っています。
その狩人、彼こそが翼を失い地に落ちた、 擬天使のなれの果てであると。
その手や足は節くれだってしまっていても、
目深に被った帽子の奥の翠の瞳は、
まぎれもない彼らと同じ光を宿している事を。

あいつらは人懐こそうに見えて警戒心が強い。
無関心を装ってつっぱってはいるけど、本当はいつも
誰かに傷つけられやしないかとびくびくしてるんだ。
俺なら元同類だからな、安心できるらしい。
よく懐くよ。

彼はそう静かに語りました。

そしてなにより私を悲しませるのは、 かつて自分も持っていた細くしなやかな肢体を懐かしみつつ、彼がまだ飛ぶ事を諦めていない、ということです。
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