・・・ Dummy Angel XI ・・・
何時の間にか、私も随分狩りが巧くなったものです。


彼らの巣を見つけ、
誘い出し、
安心させたところで、
彼らの好む味の毒でもって
思考を麻痺させ、
躰の自由を奪い、

そして

羽根を毟り取り

手足を付け根から落とし

内臓を開いて

解体してゆくのです。



それぞれの部位は、高価に取引されます。

それぞれに美しくまた美味であり、

私もその解体の過程において

その甘美な匂いには、

食欲を抑えるのに苦労します。


いえ、勿論私の食べる分も確保していますよ。


彼らの血に含まれる麻薬成分に

私もすっかり虜ですからね。


そんな私に、こうして、苦労の末とはいえ、

彼らを狩り出す能力が備わったというのは、僥倖なことです。


稀に、その麻薬的毒素が強過ぎてこちらが破壊されそうになったりもしますが、
そういった個体ほどまた格別に美味しいのですから、止められません。




解体した部位のうち、手首や、瞳といった部分は、気に入るものであれば、コレクションにもしています。


そうそう、次の獲物は、真っ黒の羽根に柔らかい手、他に類を見ない茶色い瞳を持っていますね。
その色素の薄い弱い瞳が、光に苛まれる様もまた愛おしいものです。
ガラスの器の中で、死したままこちらを見つめるその瞳を想像するだけで……


ああ、
また1人、私は擬天使を殺してしまう。
ああ、
なんと辛く悲しい事か。
ああ、
なんと幸せで甘美な事か。
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